筋トレやフィットネスを仕事にして、将来的に自分のジムを経営したいと考える場合、必要なお金は店舗の規模や業態によって大きく変わります。トレーナー1人で始める小規模なパーソナルジムと、マシンを多数そろえた24時間営業のフィットネスジムでは、同じ「ジム経営」でも必要な資金はまったく別物です。
また、会社を設立するときの資本金と、店舗を開業するために実際に必要な開業資金は同じではありません。資本金を100万円にしても、物件取得費や内装、マシン、広告費、開業後の運転資金まで100万円で済むわけではありません。
山澤礼明さんのように、ジムだけでなくSNS、商品販売、ブランドなどを組み合わせてフィットネス事業を大きくしていくモデルを目指すなら、単純に「ジム1店舗を開くためのお金」だけで考えないことも重要です。実際にFIT PLACEは、フィットネスジムに加えてSNS・YouTube、アプリ、スポーツアパレル、サプリメントなど複数の事業を展開しています。株式会社FIT PLACEの事業紹介[参照]
ジム経営で考える「資本金」と「初期費用」は別のもの
法人でジムを経営する場合、最初に会社へ出資するお金が資本金です。一方、開業資金は、物件を借りて店舗を作り、設備をそろえ、広告を出し、営業を開始するまでに必要になるお金を指します。
例えば資本金300万円で会社を設立しても、店舗の保証金や内装工事、トレーニングマシンなどに合計1,000万円必要なら、300万円だけで開業できるわけではありません。自己資金に加えて、融資などを組み合わせて資金を用意するケースもあります。
日本政策金融公庫も、創業時には創業計画を作成し、資金の使いみちや事業計画を含めて融資を検討する仕組みを案内しています。日本政策金融公庫の創業支援[参照]
小規模なパーソナルジムなら比較的少ない資金から始められる
トレーナー自身が指導するパーソナルジムなら、大型の24時間ジムに比べて必要な設備を絞り込めます。10〜30坪程度の小さな物件を借り、パワーラック、ベンチ、ダンベル、ケーブルマシンなど必要最低限の設備から始める方法もあります。
あくまで事業計画を作るための目安として考えるなら、居抜き物件や小規模物件を活用する場合、数百万円程度から開業を検討できるケースがあります。ただし、物件取得費や内装の状態、マシンを新品にするか中古にするかによって金額は大きく変わります。
例えば自己資金300万円を用意して、物件取得費、最低限の内装、トレーニング機器、看板・広告、予約システムなどに使い、足りない設備を段階的に追加する方法があります。最初から豪華な内装や大量のマシンをそろえないことで、初期投資を抑えられる可能性があります。
本格的なフィットネスジムは1,000万円以上を想定することもある
フリーウェイト、マシン、有酸素運動機器などを多数設置する一般的なフィットネスジムになると、必要資金は一気に大きくなります。広い物件を借りる場合は、敷金・保証金などの物件取得費だけでも大きな金額になる可能性があります。
さらに、床の補強、照明、空調、更衣室、シャワー、トイレ、セキュリティ設備、入退館システム、監視カメラ、消防設備など、トレーニングマシン以外にも費用が発生します。そのため、1,000万円単位の資金計画になることも珍しくありません。
特に24時間営業を前提にすると、スタッフを常駐させない仕組みや入退館管理、防犯設備なども考える必要があります。営業時間が長いほど単純に売上が増えるとは限らず、家賃、光熱費、清掃、保守、システム利用料などの固定費も含めて考える必要があります。
24時間ジムのチェーン展開は「1店舗の開業」と考え方が違う
山澤礼明さんが展開するFIT PLACE24のような24時間型のジムをイメージしている場合、個人で小規模なパーソナルジムを開く場合とは経営モデルが異なります。FIT PLACEは公式採用情報などで、24時間フィットネスジムの店舗展開に加え、SNSやアプリ、スポーツアパレル、サプリメントなどを組み合わせた事業展開を説明しています。株式会社FIT PLACEの事業内容[参照]
また、FIT PLACE24ではFCオーナー募集も行われてきました。そのため、同じような店舗を自分でゼロから作る場合と、フランチャイズへ加盟して出店する場合では、必要な資金や契約条件が異なります。山澤さん本人が展開する事業の規模や資金を、そのまま個人の開業モデルへ当てはめることはできません。
24時間ジムを目指すなら、マシン購入費だけを見るのではなく、物件取得費、内装費、システム、広告、採用・外注、開業後数か月分の運転資金まで含めた資金計画が必要です。フランチャイズの場合は加盟金、保証金、ロイヤリティなど独自の費用も確認します。
ジム開業に必要な初期費用の内訳
ジムの開業資金を考えるときは、総額だけを見るのではなく、何にお金が必要なのかを分解すると現実的な計画を作りやすくなります。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 物件取得費 | 敷金・保証金・礼金・仲介手数料など |
| 内装工事 | 床・壁・照明・更衣室・シャワー・電気設備など |
| トレーニング設備 | ラック・ベンチ・ダンベル・マシン・有酸素機器など |
| システム関連 | 予約・決済・入退館管理・防犯設備など |
| 広告宣伝費 | 看板・Webサイト・SNS広告・チラシなど |
| 備品 | ロッカー・清掃用品・PC・タブレットなど |
| 法人・開業関連費 | 法人設立・許認可確認・専門家への依頼など |
| 運転資金 | 家賃・人件費・光熱費・広告費などの開業後の支出 |
この中でも特に金額が大きくなりやすいのが、物件、内装、トレーニング設備です。例えば家賃が安い物件でも大規模な改装が必要なら、総額では安くならない場合があります。
反対に、以前ジムとして使われていた物件を居抜きで借りられれば、設備や内装を一部利用できる可能性があります。ただし、設備の所有権、残置物、修繕費、契約条件などを事前に確認する必要があります。
自己資金はいくら用意すればいい?
ジム開業では「全部を自己資金で用意する」必要があるとは限りません。自己資金に加えて、金融機関からの融資などを組み合わせて開業資金を調達する方法があります。
日本政策金融公庫では、新規開業・スタートアップ支援資金などを通じた創業支援を行っており、創業計画書や見積書などを準備して申し込む流れが案内されています。融資は必ず受けられるものではなく、審査があります。創業融資の詳細は日本政策金融公庫の公式情報[参照]
また、日本政策金融公庫の調査では、開業費用の分布や平均値は業種・性別などによって異なり、2023年の論文で紹介された調査では男性の開業費用平均が947万円、女性が744万円とされています。ただし、これはジムだけの統計ではありません。したがって「ジムなら平均947万円必要」と考えるのではなく、あくまで他業種を含む創業費用の参考値として扱うべきです。日本政策金融公庫の調査資料[参照]
最初から大きなジムを作らず段階的に事業を広げる方法
筋トレを仕事にしたい人が最初から大型ジムを開業する必要はありません。例えば、最初はレンタルジムなどを利用してパーソナルトレーニングを提供し、顧客を増やしてから自分の店舗を持つ方法もあります。
この方法なら、最初から大きな物件を借りたり大量のマシンを購入したりする必要がありません。指導技術、集客、SNS発信、顧客管理など、ジム経営に必要な能力を実際の顧客対応を通して身につけられます。
例えば「トレーナーとして月商50万円を作る→固定客を増やす→小規模店舗を開業する→スタッフを採用する→2店舗目を検討する」というように、事業規模を段階的に大きくする考え方です。売上だけでなく、利益と手元資金が増えているかを確認しながら拡大することが重要です。
山澤礼明さんのようなフィットネス起業家を目指すならSNSも事業資産になる
山澤礼明さんのビジネスモデルを参考にする場合、ジムそのものだけを真似するのではなく、集客の仕組みに注目すると分かりやすくなります。山澤さんはフィットネスジムの運営だけでなく、YouTubeを中心としたSNSを活用し、商品やブランドなど複数の事業を展開しています。株式会社FIT PLACEの事業紹介[参照]
例えばトレーナーとして筋トレ情報を発信し、SNSからパーソナル指導へ集客し、顧客が増えた段階で自分の店舗を開業する方法なら、広告費だけに依存しない集客基盤を作れる可能性があります。
ただし、SNSのフォロワー数が多ければ必ずジムが成功するわけではありません。地域の人口、競合店舗、客単価、継続率、家賃、人件費、設備投資など、店舗ビジネスとしての採算性も同時に検証する必要があります。
開業前に作っておきたい簡単な収支シミュレーション
ジムを開業する前には、「何人集客すれば黒字になるか」を計算しておくと、必要な初期費用を判断しやすくなります。
例えば月額会費8,000円の会員制ジムで、家賃や光熱費、システム費、清掃費、広告費などの固定費が月200万円なら、単純計算では会費だけで月200万円を売り上げる必要があります。実際には決済手数料、消耗品、修繕費、税金などもあるため、さらに余裕を持った計画が必要です。
パーソナルジムなら、例えば1回8,000円で月100セッションを行えば売上80万円です。しかし、ここから家賃、広告費、予約システム、消耗品、税金などを差し引く必要があります。売上ではなく、経費を引いた後にいくら残るかを見ることが重要です。
資本金を決める前に「何店舗・どの規模を目指すか」を決める
「資本金はいくらにするか」から考えるより、「どんなジムを何店舗まで展開したいか」を先に決めるほうが事業計画を作りやすくなります。1人で運営するパーソナルジムと、スタッフを配置する大型ジムでは必要な資金が大きく異なるからです。
目安として、小規模なパーソナルジムなら数百万円規模から検討できるケースがある一方、設備の充実した大型ジムや24時間ジムでは1,000万円以上の資金計画になることがあります。さらに複数店舗展開を目指すなら、1店舗目の開業費だけでなく2店舗目以降の出店資金まで考える必要があります。
なお、ここで示した金額は特定の店舗について保証される開業費用ではありません。物件の所在地、面積、賃料、内装状態、設備仕様、営業時間、スタッフ数によって大きく変わります。実際に開業する場合は、候補物件の見積もりを取って具体的な事業計画へ落とし込むことが大切です。
まとめ:ジム経営は数百万円から検討できるが、業態によって必要資金は大きく変わる
ジム経営に必要な資本金や初期費用には一律の正解はありません。トレーナー1人の小規模なパーソナルジムなら数百万円規模から検討できる場合がありますが、マシンを多数そろえた大型ジムや24時間ジムでは1,000万円以上の資金計画になることもあります。
資本金と開業資金は別物であり、開業時には設備費だけでなく、物件取得費と開業後の運転資金まで含めて考えることが重要です。自己資金だけで足りない場合は、創業融資などを含めた資金調達を検討できます。
山澤礼明さんのようなフィットネス起業家を目指す場合も、最初から大規模な24時間ジムを作ることだけが方法ではありません。トレーナーとして顧客を獲得し、SNSなどで発信しながら小さく事業を始め、利益と顧客基盤を積み上げて店舗や商品事業へ広げる方法もあります。開業前には、初期費用、毎月の固定費、想定会員数、客単価、損益分岐点、運転資金を一つずつ数字にしてから判断すると、必要な資金規模がより具体的に見えてきます。

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