クマ取りは脱脂なし脂肪注入だけでもできる?目の下のクマ治療・脱脂・脂肪注入の違いを解説

美容整形

目の下のクマ治療を調べると、「脱脂+脂肪注入」という組み合わせをよく見かけます。一方で、眼窩脂肪を取らずに脂肪注入だけを行う治療もあり、「膨らみがそれほど強くないなら脱脂なしでもよいのでは」と考える人もいるでしょう。

実際には、脱脂なしの脂肪注入が適するケースはありますが、すべてのクマに向いているわけではありません。目の下が暗く見える原因が「くぼみ」なのか「脂肪の膨らみ」なのか、あるいは色素・血管・皮膚の薄さなどによるものなのかで治療方法は変わります。

クマ取りで重要なのは、人気の施術を選ぶことより、自分の目の下がなぜクマに見えているのかを診断してもらうことです。ここでは脱脂なし脂肪注入、脱脂のみ、脱脂+脂肪注入などの違いを整理します。

「クマ」は一つの原因でできるわけではない

一般にクマと呼ばれているものには、目の下の膨らみとくぼみによって影ができるタイプ、皮膚の色素が関係するタイプ、皮膚が薄く血管などが透けて見えるタイプなどがあります。複数の要素が重なっていることも珍しくありません。

美容外科で脱脂や脂肪注入の対象になりやすいのは、主に目の下の立体的な形によって影ができているケースです。眼窩脂肪が前方へ突出すると、その下に影ができてクマのように見えることがあります。一方、目の下から頬にかけてボリュームが不足している場合にも、溝や影が目立ちます。

医学文献でも、いわゆるティアトラフ(目頭側から下に伸びる溝)は目袋と一緒に存在する場合だけでなく、単独で存在する場合があり、治療には脂肪注入、脂肪移動など複数の方法があるとされています。PubMed:Tear trough deformityのレビュー[参照]

脱脂なしで脂肪注入だけをする治療はある

自分の太ももや腹部などから採取した脂肪を処理し、目の下から頬のくぼみに注入してボリュームを補う「自家脂肪注入」は、実際に行われている治療法です。眼窩脂肪を取り除くことが必須というわけではありません。

例えば眼窩脂肪の突出が目立たず、主な問題が目の下のくぼみやボリューム不足である場合には、脂肪を減らすより足す方向の治療が合理的なことがあります。脂肪注入単独と脂肪移動を比較した研究でも、軽度のティアトラフでは双方が選択肢になり得ると報告されています。PubMed:脂肪移動と自家脂肪注入の比較研究[参照]

つまり「クマ取り=必ず脱脂」というわけではありません。むしろ膨らみが少ない人から必要以上に脂肪を取れば、目の下がくぼんで見える可能性もあるため、現在のボリュームをどう扱うかが重要になります。

脂肪注入だけでは向かないケースもある

反対に、目の下の眼窩脂肪が大きく前へ突出している場合には、その下のくぼみだけへ脂肪を足しても膨らみそのものは残ります。段差を目立ちにくくできる可能性はありますが、目袋を小さくする治療とは目的が異なります。

例えば「山」のように突出した部分と、その下の「谷」がある状態を考えると分かりやすくなります。脂肪注入は谷を埋める治療、脱脂は山のボリュームを減らす治療、脂肪移動は余っているボリュームを谷側へ移すような治療と考えると、違いをイメージしやすくなります。

膨らみが原因なのに脂肪を足すだけでよいのか、くぼみが原因なのに脂肪を取る必要があるのかは、目元の解剖を診察したうえで判断する必要があります。

脱脂・脂肪注入・脂肪移動の違い

治療 主な考え方 検討されるケースの例
脱脂 突出した眼窩脂肪を取り除く 目の下の膨らみが目立つ
脂肪注入 別の部位から採取した脂肪をくぼみに足す ティアトラフや頬側のボリューム不足が目立つ
脱脂+脂肪注入 膨らみを減らしながら別のくぼみを補う 膨らみとくぼみの両方が目立つ
脂肪移動・再配置 眼窩脂肪を単純に捨てず、くぼみ側へ移動させる 目袋とティアトラフの段差を整えたい場合など

下眼瞼形成術には脂肪を単純に切除する以外にも、移動・再配置したり、自家脂肪を追加したりするさまざまな方法があります。PubMed:下眼瞼形成術のレビュー[参照]

したがって「脱脂ありとなしのどちらが優れているか」ではなく、どの組み合わせが現在の目元に適しているかという考え方が重要です。

脂肪注入だけなら低リスクというわけではない

脱脂をしない脂肪注入は「取らないから簡単」と感じるかもしれませんが、目周囲への脂肪注入にも固有のリスクがあります。注入した脂肪がすべて同じ割合で定着するわけではなく、吸収によるボリューム不足、左右差、入れすぎ、しこり、凹凸などが生じる可能性があります。

下眼瞼への脂肪注入に関する医学レビューでは、過矯正・不足、輪郭の不整、長引く腫れや内出血、感染、肉芽腫・炎症などが合併症として挙げられています。また非常にまれでも、血管への誤注入による視力障害や脳血管障害など重大な合併症が報告されています。PubMed:下眼瞼脂肪注入の合併症[参照]

2024年の脂肪注入・脂肪移動に関するシステマティックレビューでも、仕上がりへの不満や輪郭不整、腫れ・内出血などを含む合併症について注意深い評価と患者への説明が必要とされています。PubMed:脂肪注入・脂肪移動のシステマティックレビュー[参照]

「脱脂しないほうが将来安心」とも一概には言えない

目の下の脂肪を取りすぎることによるくぼみを心配し、脱脂を避けたいと考える人もいます。この心配自体は理解できますが、「脱脂は悪く、脂肪注入なら安全」という二択で考えるのは適切ではありません。

大切なのは、脂肪を取る必要がある人から適切な量を処理することと、取る必要がない人から不要に取らないことです。近年の下眼瞼形成では、脂肪を単純に除去するだけでなく、できるだけボリュームを温存・再配置して目の下から頬へのラインを整える考え方も用いられています。

一方で脂肪注入にも、定着量を完全には予測できないという性質があります。追加注入が必要になる場合もあるため、どちらにもメリットと限界があります。

色素によるクマなら脂肪注入だけで消えないこともある

もう一つ重要なのが、形ではなく「色」が主な原因のクマです。皮膚の色素沈着などが中心の場合、脱脂や脂肪注入で立体的な影を改善しても、色そのものが残ることがあります。

反対に、鏡を正面から見たときは暗く見えても、照明の方向を変えるとクマが大幅に薄くなる場合は、凹凸による影の影響が大きい可能性があります。ただし自宅での確認だけで治療方法を決めることはできません。

カウンセリングでは「クマ取りをしたい」とだけ伝えるより、医師に自分のクマのうち、膨らみ・くぼみ・皮膚・色素がそれぞれどの程度関係しているのかを説明してもらうと治療を比較しやすくなります。

カウンセリングでは「なぜ脱脂する・しないのか」を聞く

同じ人が複数の美容外科を受診しても、「脱脂+脂肪注入」「脂肪注入のみ」「脂肪移動」など異なる提案を受けることがあります。術式には医師の経験や得意分野も影響するため、施術名だけで比較するのではなく提案理由を確認しましょう。

特に確認したいのは、「眼窩脂肪の突出はどの程度あるか」「脂肪注入だけの場合、現在の膨らみはどうなるか」「脱脂する場合はどの部分をどのように処理するのか」「将来的なくぼみや凹凸をどう避けるのか」「脂肪注入が定着しなかった場合はどうするのか」といった点です。

美容医療では症例写真も参考になりますが、似た角度・照明で撮影された術前後写真かを確認することも大切です。可能なら一つのクリニックだけで即決せず、下眼瞼の手術や脂肪注入を日常的に行っている医師から複数の意見を聞くと比較しやすくなります。

まとめ:脱脂なし脂肪注入は選択肢だが、クマの原因によって適否が変わる

目の下のクマ治療では、脱脂をせず脂肪注入のみを行う方法も実際に存在します。特に眼窩脂肪の突出が強くなく、ティアトラフなどのくぼみやボリューム不足が主な問題であれば、脂肪を足す治療が選択肢になることがあります。

一方、目袋のような膨らみが強い場合、脂肪注入だけでは突出した眼窩脂肪そのものはなくなりません。その場合は脱脂、脂肪移動、脂肪注入との併用など別の方法が適している可能性があります。

「脱脂あり・なし」のどちらかを先に決めるより、まず自分のクマが膨らみ、くぼみ、色、皮膚のどれによって生じているのかを診断してもらうことが重要です。脂肪注入にも凹凸、左右差、しこり、感染などのリスクがあり、まれながら重大な血管合併症も報告されています。メリットだけでなく、必要性とリスクを具体的に説明できる医師を選び、納得してから治療方法を決めることが大切です。

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