なぜ男性は肥満が多く若い女性はやせが多い?男女の体脂肪のつき方と生活習慣の違いを解説

ダイエット

日本では、男性の肥満と若い女性のやせが、それぞれ健康上の課題として取り上げられています。一見すると「女性のほうが体脂肪がつきやすいのに、なぜ男性のほうが肥満者が多いのか」と不思議に感じるかもしれません。

ここで大切なのは、「女性は生理的に男性より体脂肪率が高い傾向がある」という話と、「BMI25以上の肥満に該当する人がどちらに多いか」は別の話だということです。肥満の割合には、身体的な男女差だけでなく、食事、飲酒、運動、仕事、睡眠、体形に対する意識など多くの要因が関係します。

また、「若い女性のやせ率がずっと増加し続けている」と理解するのも正確ではありません。厚生労働省は、20~30歳代女性のやせについて近年は大きな増減がみられないものの、依然として一定割合存在することを健康課題としています。厚生労働省・若い女性の「やせ」と健康・栄養問題[参照]

そもそも「肥満」と「体脂肪率が高い」は同じ意味ではない

国民健康・栄養調査などで使われる成人の「肥満」は、一般にBMIを基準として判定されています。BMIは体重kg÷身長m÷身長mで計算し、BMI25以上を肥満、18.5未満をやせとする区分が使われます。

例えば身長170cm、体重75kgならBMIは約26です。一方、身長160cm、体重55kgならBMIは約21.5です。この判定そのものには「男性だから基準を高くする」「女性だから体脂肪が多いので基準を変える」といった仕組みはありません。

女性の体脂肪率が生理的に高めであることと、BMI25以上になる人の割合は直接イコールではありません。この2つを分けて考えると、男女の統計が理解しやすくなります。

実際に男性の肥満率は女性より高い

厚生労働省の令和5年国民健康・栄養調査では、20歳以上の肥満者(BMI25以上)の割合は男性31.5%でした。女性では21.1%で、統計上は男性のほうが高くなっています。厚生労働省・令和5年国民健康・栄養調査[参照]

さらに年齢によっても違いがあります。同調査では男性の肥満者割合は20~29歳で23.2%、30~39歳で34.3%、40~49歳で34.8%、50~59歳で35.0%となっており、働き盛りの年代で3割を超えています。

つまり「男性は脂肪がつきにくいから肥満にならない」ということではありません。身体的な傾向があったとしても、長期間にわたり摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る生活が続けば、男性でも体重・体脂肪は増えていきます。

男性は内臓脂肪が蓄積しやすい傾向がある

男女では脂肪が蓄積する場所にも傾向の違いがあります。一般に男性では腹部の内臓周辺へ脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」が多く、女性では特に閉経前には皮下脂肪が蓄積しやすい傾向があります。

そのため、男性ではお腹が前へ出るような体形変化が目立つことがあります。厚生労働省の健康情報でも、若年~中年男性を中心として、肥満、特に内臓肥満を伴う高血圧が問題になることが説明されています。厚生労働省・高血圧と内臓肥満[参照]

内臓脂肪の蓄積は、血圧、血糖、脂質などの異常と関連し、メタボリックシンドロームにもつながります。そのため男性の肥満は、単に見た目や体重だけの問題ではなく生活習慣病予防の観点でも重要です。

男性の肥満には食事・飲酒・運動など生活習慣も関係する

肥満の原因を「男性ホルモンだから」「女性ホルモンだから」と性差だけで説明することはできません。体重には毎日の食事量、食事内容、アルコール、身体活動、睡眠、仕事や生活環境などが複合的に関係します。

例えば、仕事が忙しく朝食を抜き、昼食・夕食に高エネルギーの食事をまとめて食べる、帰宅が遅く運動する時間が少ない、仕事上の付き合いで飲酒する、といった生活が長期間続けば体重増加につながる可能性があります。

厚生労働省も健康づくりについて、就労世代や育児をする人では健康づくりに費やす時間が十分に取れないことがあるなど、個人の努力だけではなくライフステージや社会環境も健康状態へ影響することを示しています。厚生労働省・健康日本21(第三次)推進資料[参照]

若い女性では逆に「やせ」が健康課題になっている

男性で肥満が問題になる一方、日本では若い女性のやせも長年の健康課題です。厚生労働省によると、令和5年国民健康・栄養調査では20~30歳代女性のBMI18.5未満の割合は20.2%でした。

ただし、ここは統計の読み方に注意が必要です。厚生労働省は20~30歳代女性のやせについて、ここ10年は大きな増減がみられないと説明しています。したがって「現在も急速に増加している」というより、「高い水準が続いており、十分に改善していない健康課題」と理解するほうが適切です。厚生労働省・若い女性の「やせ」と健康・栄養問題[参照]

健康日本21(第三次)でも、20~30歳代女性のBMI18.5未満の割合を減らすことが目標として設定されています。

若い女性がやせる背景には「やせ願望」もある

若い女性のやせについては、身体的な性差だけでは説明できません。厚生労働省は背景として、適切な体形についての認識不足、「やせているほうがいい」という価値観、さまざまなダイエット情報など複数の要因を挙げています。

つまり、もともと女性は一定の体脂肪を必要とする身体的特徴がある一方で、社会的には細い体形を理想とする価値観の影響を受け、実際には減量する必要がない人まで食事を制限してしまうことがあります。

例えばBMIがすでに普通体重の範囲にあるにもかかわらず、「もっと細くなりたい」と食事量を極端に減らせば、BMI18.5未満になる可能性があります。これは「女性だから自然にやせる」という現象ではなく、食生活や体形に対する意識などが関係した問題です。

女性に脂肪がつきやすいのにやせられるのは矛盾ではない

「女性は男性より体脂肪率が高い傾向がある」と「若い女性に低BMIの人が多い」は両立します。体脂肪率とBMIは測っているものが違うからです。

BMIは身長に対する体重の指標であり、筋肉と脂肪を区別していません。そのため同じBMIでも、筋肉量や体脂肪率は人によって違います。筋肉量の多い男性ならBMIが高くても体脂肪率がそれほど高くない場合もあります。

反対に、食事制限によって体重だけでなく筋肉量まで減少した女性では、体重が軽くBMIが低くなることがあります。したがって「脂肪のつきやすさ」だけを見て、男女どちらがBMI上の肥満・やせになりやすいかを予測することはできません。

男女差より「適正体重から外れていること」を考えるのが大切

男性の肥満と若い女性のやせは、一見すると正反対の問題ですが、どちらも適正体重から外れているという意味では共通した健康課題です。

肥満では高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病との関連が問題になります。一方、若い女性の過度なやせでは、鉄などの栄養不足、骨量の減少、月経に関する問題などにつながる可能性があります。厚生労働省も若い女性のやせについて、将来の骨粗鬆症などの健康問題のリスクを高めることを指摘しています。厚生労働省 e-ヘルスネット[参照]

「男性だから多少太ってもよい」「女性だから細いほど健康」ということではありません。性別に関係なく、極端な体重増加・減少を避け、食事・運動・睡眠を含めた健康状態全体を見ることが重要です。

まとめ:男性の肥満と若い女性のやせは身体的特徴だけでは説明できない

女性は男性より生理的に体脂肪率が高い傾向がありますが、それだけで男女の肥満率が決まるわけではありません。統計でいう肥満は主にBMIで判定され、食事、運動、飲酒、睡眠、仕事などの生活習慣や年齢、社会環境などさまざまな要因が関係します。

日本では成人男性の肥満者割合が女性より高く、特に働き盛りの年代では肥満が重要な健康課題になっています。一方、若い女性では、やせ願望やダイエット志向なども背景となり、BMI18.5未満の人が一定割合存在しています。ただし近年の若年女性のやせは「増加し続けている」というより、高い水準が十分に改善していないと捉えるのが適切です。

「脂肪がつきやすい性別=肥満者が多い性別」と単純には考えられません。身体の男女差に加えて、BMIと体脂肪率の違い、脂肪がつく場所、年齢、食生活、身体活動、体形への意識まで含めて考えることで、男性の肥満と若い女性のやせという一見矛盾した統計を理解しやすくなります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました