健康のためにウォーキングを始めたものの、1日8,000歩を歩くと想像以上に疲れるという人は珍しくありません。8,000歩という数字だけを見ると軽い運動に感じるかもしれませんが、歩く速さや坂道の有無、仕事中の活動量、気温、睡眠、体力などによって身体への負担は大きく変わります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人について歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上、歩数ではおおむね1日8,000歩以上に相当する量が推奨されています。一方で、同ガイドは個人差を踏まえて強度や量を調整し、可能なものから取り組むことも重視しています。つまり、8,000歩は参考になる目安ではありますが、誰もが同じ負担感で歩ける数字ではありません。[参照]
1日8000歩は実際どのくらいの運動量なのか
歩幅には個人差がありますが、8,000歩は日常生活の中では決して少ない活動量ではありません。厚生労働省のガイドでも、成人の目安として「1日60分以上の歩行または同等以上の身体活動」が約8,000歩に相当するとされています。
しかも、歩数計に表示される8,000歩には買い物や通勤、家の中での移動なども含まれます。普段あまり歩かない人が「ウォーキングだけで8,000歩」を追加すると、もともとの生活活動と合計して1日の活動量がかなり多くなることがあります。
例えば仕事中に3,000歩歩いている人が、帰宅後さらに8,000歩ウォーキングすれば、合計は約11,000歩です。「8,000歩しか歩いていない」と思っていても、実際にはそれ以上身体を動かしているケースがあるため、スマートフォンやスマートウォッチでは1日の総歩数を確認するとよいでしょう。
8000歩でヘトヘトになるからといって体力不足とは限らない
8,000歩を歩いて疲れることだけで、単純に「体力がない」と判断することはできません。疲労度は歩数だけではなく、歩行速度、坂道、気温や湿度、荷物の重さ、靴、睡眠時間、食事、仕事や学校での疲労などさまざまな条件に左右されるためです。
例えば同じ8,000歩でも、平坦な道をゆっくり歩く場合と、坂道を速歩きする場合では運動強度がまったく違います。また真夏の暑い時間帯に歩けば、体温調節のためにも身体へ負担がかかります。
さらに週5日続けている場合、1週間では約4万歩になります。休日にほとんど運動していなかった人が急にこの生活へ変えれば、身体が慣れるまで疲れを感じることは十分考えられます。
「8000歩を達成すること」より身体に合わせることが重要
8,000歩は絶対に達成しなければならないノルマではありません。厚生労働省のアクティブガイドでも、8,000歩などの数値は一般的な目安であり、健康状態や体力レベルには個人差があるため、強度や量を調整して無理なく取り組むことが重要とされています。[参照]
毎回帰宅後に何もできないほど疲れるのであれば、いったん歩数やペースを下げて身体の反応を見る方法があります。例えば8,000歩から6,000歩程度へ減らし、それでも疲れるなら5,000歩程度にするなど、自分が無理なく続けられる量を探します。
反対に6,000歩なら翌日に疲労を残さず続けられるのであれば、まずその量を習慣化し、慣れてから6,500歩、7,000歩というように少しずつ増やす方法があります。「8,000歩を達成したか」だけではなく、翌日まで含めた体調を見ることがポイントです。
2カ月続けても疲れる場合に見直したいポイント
ウォーキングを数週間から数カ月続けても毎回かなり疲れる場合は、歩数だけでなく歩き方や生活全体を確認してみましょう。特に速すぎるペースで歩いていないか、坂道の多いコースではないか、休養日は確保できているかを確認します。
また、ウォーキング前後の水分補給、食事、睡眠も重要です。暑い季節は発汗量が増えるため、普段と同じ距離でも疲労感が強くなる場合があります。猛暑日は距離を減らしたり、涼しい時間帯に変更したり、屋内で身体を動かしたりする選択肢もあります。
靴も意外に大きな要素です。サイズが合わない靴やクッション性が低下した靴では、足裏やふくらはぎなどへの負担が増える場合があります。足や膝に痛みが出るのであれば、「運動だから仕方ない」と我慢せず、歩行量を減らして原因を確認することが大切です。
歩数を分割してもよい
8,000歩を一度に歩く必要はありません。通勤や買い物など日常生活での歩行も身体活動に含まれるため、1日の中で分散させる方法があります。
例えば朝に2,000歩、昼休みに2,000歩、日常生活で2,000歩、夕方に2,000歩という形なら合計8,000歩です。一度に長時間歩くよりも負担を感じにくい人もいます。
「夕方に8,000歩をまとめて歩いて帰宅するとヘトヘトになる」という場合は、歩数そのものより一度に歩いている量が負担になっている可能性があります。生活スタイルに合わせて小分けにしてみる価値があります。
強い疲労や体調の異変がある場合は無理に続けない
運動による通常の疲労と、身体の異常による症状は区別する必要があります。厚生労働省の身体活動・運動に関する情報では、運動中に胸痛、動悸、めまい・ふらつき、いつもと違う強い疲れ、関節や筋肉の強い痛み、冷や汗などの異変を感じた場合には運動を中止するよう案内されています。[参照]
単に「歩いたので少し疲れた」という程度ではなく、毎回極端に消耗する、休んでも疲労が取れない、息切れが非常に強い、胸が痛む、めまいがするといった症状がある場合には、歩数を減らすだけで済ませず医療機関への相談を検討してください。
特に持病がある人、長期間ほとんど運動していなかった人、関節などに痛みがある人は、自分に適した運動量について医師などの専門家へ相談すると安心です。
まとめ:8000歩は目安。疲れるなら自分に合った歩数から続けよう
1日8,000歩は厚生労働省のガイドでも成人の身体活動量を示す具体的な目安として使われており、決して「ほとんど運動にならない程度の歩数」ではありません。そのため、8,000歩歩いて疲れること自体を理由に、すぐ体力不足と決めつける必要はありません。
大切なのは数字だけを追いかけることではなく、自分の体力や生活環境に合わせて無理なく継続できる活動量を見つけることです。8,000歩で毎回ヘトヘトになるなら、一度6,000歩前後などへ減らしたり、歩く速度を落としたり、1日の中で分割したりして身体の反応を確認してみましょう。
そして体力がついて余裕が出てきた段階で少しずつ活動量を増やせば十分です。ウォーキングは1日だけ目標歩数を達成することより、体調を崩さず長く続けられる形にすることが重要です。

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