ピラティスで呼吸法を教えないのは普通?7回目でも遅くない「肋骨を閉める」呼吸と姿勢改善の考え方

ヨガ、ピラティス

姿勢改善を目的にパーソナルピラティスへ通い始めると、インターネットで紹介されている「ピラティス呼吸」や「肋骨を閉める」といった指導を期待することがあります。一方で、実際のレッスンでは呼吸法を特別なテーマとして扱わず、動作や姿勢、体幹の使い方を中心に進む場合もあります。

ピラティスには呼吸を含むさまざまな原則がありますが、すべてのスタジオやインストラクターが同じ順番・同じ言葉で指導するわけではありません。特にパーソナルレッスンでは、その人の姿勢や動きの癖、目的に合わせて内容を組み立てるため、何回目から呼吸法を教えるかという全国共通の基準があるわけではありません。

また、「肋骨を閉める」という表現も、息を止めたり胸郭を無理に押さえつけたりする意味ではありません。姿勢改善を考えるうえでは、呼吸と体幹の安定、骨盤や胸郭の位置をどのように協調させるかという視点で理解すると、レッスンの内容も判断しやすくなります。

ピラティスでは呼吸も重要な要素の一つ

ピラティスを扱った研究では、呼吸は姿勢、体幹の安定、身体のコントロールなどと並ぶ重要な要素として扱われています。古典的なピラティスの定義を調べた研究でも、ピラティスの特徴として筋力、柔軟性、姿勢、呼吸などが挙げられています。PubMed「Defining Pilates exercise: a systematic review」[参照]

ただし、これは「すべてのレッスンで最初に呼吸法を詳しく教えなければピラティスではない」という意味ではありません。実際のレッスンでは、呼吸を意識させながらエクササイズを行う場合もあれば、まず身体の動かし方や姿勢を覚えてもらい、必要な場面で呼吸について説明する場合もあります。

そのため、レッスン開始から7回程度の時点で呼吸法を詳しく扱っていないことだけを理由に、指導内容が間違っているとは判断できません。むしろ重要なのは、自分の目的である姿勢改善に対して、現在どのような評価と指導が行われているかです。

「肋骨を閉める」は肋骨を力ずくで押し込むことではない

ピラティスや姿勢改善について調べると、「肋骨を閉じる」「リブを締める」などの表現を見かけることがあります。しかし、これは肋骨を手で押さえつけるように常に内側へ縮めることを意味するわけではありません。

呼吸をすると胸郭は動きます。そのため、呼吸を止めたまま肋骨を固定するような意識では、かえって自然な呼吸や動作を妨げることがあります。実際の指導では、胸郭と骨盤の位置関係を整えながら、呼吸を続けて身体を動かすことが重視される場合があります。

例えば仰向けでエクササイズを行うときに、息を吐くタイミングで腹部を軽く意識し、肋骨が前方へ大きく突き出し続けないよう調整する、といった指導があります。ただし、具体的な方法は身体の状態やエクササイズによって変わるため、インターネットの動画をそのまま自己流で再現する必要はありません。

7回目だから呼吸法をまだ教えていないとは限らない

ピラティスに「何回目になったら呼吸法を教える」という共通のカリキュラムはありません。7回目だから遅い、あるいは7回目なら必ず呼吸法を習得しているべき、といった一律の基準で考える必要はありません。

パーソナルレッスンでは、初期に身体の状態を確認し、動作の癖や左右差などを見ながら運動内容を調整することがあります。呼吸についても、最初から細かく説明するより、特定の動作で必要になった段階で声をかけるほうが分かりやすいケースがあります。

例えば、最初の数回で骨盤の位置や背骨の動かし方を確認し、その後に胸郭の動きや呼吸を組み合わせるという進め方も考えられます。逆に、初回から呼吸を詳しく扱う指導者もいます。どちらが必ず正しいというものではありません。

姿勢改善なら「呼吸法をやったか」だけで効果を判断しない

姿勢改善を目的としたピラティスでは、呼吸だけでなく、身体をどのように動かし、どの筋肉を使い、どの姿勢を自分でコントロールできるようになるかも重要です。

2024年のシステマティックレビューでは、ピラティスが姿勢に与える影響を調べた研究がまとめられており、姿勢改善に一定の可能性が示されています。一方で、研究の質や対象にはばらつきがあり、すべての姿勢の問題に同じ効果があると断定できるわけではありません。PubMed「Effects of Pilates on Body Posture: A Systematic Review」[参照]

そのため、姿勢改善を目的にしているなら、「肋骨を閉める呼吸を習ったか」だけでなく、立位や座位の姿勢、肩・骨盤・背骨の動きについてどのような説明を受けているかを見ることが大切です。

例えば、レッスン後に「肩が上がりにくくなった」「立ったときの骨盤の位置を意識しやすくなった」「背中を伸ばす感覚が分かってきた」など、自分の身体の使い方に変化があるなら、呼吸法を独立した時間に教わっていなくても、レッスンの中で呼吸が使われている可能性があります。

呼吸について気になるならインストラクターに聞いてみる

もしレッスン中に呼吸についてほとんど説明がなく、自分の目的に対して十分なのか気になっているなら、次回のパーソナルでそのまま質問して構いません。「姿勢改善が目的なのですが、呼吸や肋骨の動きは意識したほうがいいですか?」と聞けば、現在のプログラムとの関係を説明してもらいやすくなります。

特に、「ネットで肋骨を閉めるという方法を見たのですが、自分の場合も必要ですか?」と具体的に聞くと、自分の身体に合わせた説明を受けやすくなります。ネット上の方法を正解として持ち込むのではなく、担当者に自分の場合の必要性を確認することがポイントです。

良いパーソナルレッスンでは、単に動きを真似するだけでなく、「なぜこの動きをするのか」「どこを意識するのか」といった説明を受けられることがあります。疑問を伝えたときに目的に合わせて説明してくれるかどうかも、レッスン内容を判断する材料になります。

呼吸を意識するときに避けたい自己流のやり方

姿勢を良くしたいからといって、常にお腹を強くへこませたり、肋骨を力いっぱい締めたり、息を止めたりする必要はありません。呼吸は本来、運動中も継続するものなので、苦しさやめまいなどが出るような方法は避けます。

また、SNSや動画で紹介されている「正しい姿勢」は、その人の身体的特徴や目的を考慮したものとは限りません。反り腰、猫背、肩の位置など、同じように見える悩みでも原因や身体の使い方は人によって異なります。

例えば「肋骨を閉じる」というキーワードだけを見て、胸を強く丸めたり呼吸量を意図的に減らしたりするのは適切とは限りません。実際のレッスンでは、痛みや呼吸のしづらさがない範囲で、インストラクターの指示に合わせて行うことが安全です。

姿勢改善のためのピラティスで確認したいポイント

レッスンの良し悪しを判断するときは、呼吸法の有無だけではなく、次のような点を総合的に見ていくと分かりやすくなります。

  • 姿勢改善という自分の目的を担当者が把握しているか
  • 身体の状態や動き方を見たうえでエクササイズを選んでいるか
  • 動作中の姿勢や身体の使い方について説明があるか
  • 必要に応じて呼吸や胸郭、腹部について指示があるか
  • 痛みや無理な動きを避けながら進めているか
  • レッスンを続けることで自分の身体の使い方を理解できているか

特にパーソナルレッスンでは、「何回目か」よりも「自分の目的に合わせて内容が調整されているか」を確認するほうが重要です。姿勢改善を目的としていることを改めて伝え、今後どのような方針で進めるのかを聞いてみるとよいでしょう。

なお、姿勢の見た目だけでなく、痛みやしびれ、関節の可動域などに問題がある場合は、ピラティスだけで自己判断せず、医師や理学療法士などの専門家へ相談することも検討してください。

呼吸とピラティスを組み合わせた研究もある

近年は、ピラティスに呼吸エクササイズを組み合わせた研究も行われています。2025年に公表されたランダム化比較試験では、姿勢に課題のある女子大学生を対象に、ピラティス単独と呼吸エクササイズを組み合わせたプログラムなどが比較され、呼吸を組み合わせたグループで姿勢や一部の呼吸機能、静的な姿勢安定性などに改善がみられました。

ただし、この研究は66人の女子大学生を対象とした特定のプログラムによる研究であり、すべての年齢・体格・姿勢の悩みに同じ結果が出るとまでは言えません。研究結果は「呼吸を取り入れる方法にも研究上の可能性がある」と捉えるのが適切です。PubMed「Effects of Pilates combined with breathing exercise on lung function, body posture and postural stability」[参照]

つまり、呼吸を取り入れること自体には意味がありますが、「呼吸法を毎回詳しく指導されていない=姿勢改善のピラティスとして不十分」と単純には判断できません。運動内容、指導方法、身体への適合性を合わせて考えることが大切です。

まとめ

ピラティスには呼吸が重要な要素として含まれていますが、すべてのスタジオやインストラクターが同じタイミングで呼吸法を詳しく教えるわけではありません。7回目だから必ず呼吸法を習うべき、という共通ルールもありません。

「肋骨を閉める」という言葉も、肋骨を無理に押し込んだり息を止めたりすることではありません。呼吸を続けながら胸郭や骨盤、体幹の位置をコントロールするという文脈で使われることがあるため、ネットの情報をそのまま自己流で実践するより、担当インストラクターに確認するのが安全です。

姿勢改善が目的なら、呼吸法を教わった回数だけでレッスンを評価するのではなく、自分の姿勢や身体の使い方について評価・説明・調整が行われているかを確認することが大切です。次回は「姿勢改善が目的なので、呼吸や肋骨の動きも意識したほうがいいですか?」と聞いてみると、現在のレッスン方針を具体的に知るきっかけになります。

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