ランニングを始めたばかりの頃、脚ではなく肩や背中の上部が痛くなることがあります。特に、腕を振ったときに肩甲骨の周辺や肩の後ろ側が痛む場合は、普段あまり使っていなかった筋肉を急に使ったことや、肩に力が入りすぎたフォームが関係している可能性があります。
ランニングでは脚だけでなく、腕・肩・背中も姿勢を安定させるために使います。そのため運動習慣がなかった人が走り始めると、肩甲骨周辺の筋肉が筋肉痛になることも珍しくありません。
腕振りは大きく力いっぱい行う必要はありません。肩の力を抜き、肘を軽く曲げ、身体の前後方向へ自然に振るのが基本です。痛みが強い場合は無理に走り続けず、いったん運動量を減らして様子を見ることも大切です。
- ランニングを始めて2日で肩・背中が痛くなる主な理由
- 肩に力を入れすぎて走っている可能性もある
- 腕を身体の横方向へ振ると肩や背中へ負担がかかりやすい
- 初心者向けの正しい腕の振り方
- 「前へ振る」より「肘を後ろへ引く」と考えると自然になる
- 手を強く握りしめない
- 猫背や前かがみも肩の痛みにつながることがある
- 走り始め2日なら「頑張りすぎ」も考える
- 初心者はランニングとウォーキングを交互にしてもよい
- 筋肉痛らしい場合は休息を入れる
- 走る前に肩まわりを軽く動かしておく
- 腕振りのチェックポイント
- スマホで動画を撮ってもらうとフォームが分かりやすい
- 肩甲骨を無理に寄せて走る必要はない
- 痛みが出たときは走り続けない
- 単なる筋肉痛ではなさそうな痛みには注意
- しびれや力の入りにくさがあれば早めに受診する
- 初心者が最初の1~2週間で意識したいこと
- まとめ:走り始めの肩・背中の痛みは力みや使い慣れない筋肉が原因のことが多い
ランニングを始めて2日で肩・背中が痛くなる主な理由
走り始めて間もない場合、最も考えやすい原因の一つが筋肉の使い慣れによる疲労です。ランニングでは腕を前後に振るたびに、肩や肩甲骨周辺の筋肉が繰り返し働きます。
日常生活ではここまで同じ動きを連続して行うことは少ないため、初めて走った翌日や2日後に筋肉痛として現れることがあります。
特に首の付け根から肩甲骨周辺にある僧帽筋や、肩甲骨を動かす筋肉に疲労がたまると、「肩なのか背中なのか分からない場所が痛い」という感覚になることがあります。
肩に力を入れすぎて走っている可能性もある
初心者のランニングで非常に多いのが、無意識に肩をすくめた状態で走ってしまうことです。速く走ろうとすると腕を強く振ろうとして、肩や首まで力んでしまいます。
この状態では肩周辺の筋肉がずっと緊張したままになり、数分走っただけでも疲れや張りを感じやすくなります。
走っている途中に一度肩を上へグッとすくめてから、ストンと落としてみてください。その位置が比較的リラックスした肩の位置です。そのまま腕を軽く振る感覚を覚えると、余計な力を減らしやすくなります。
腕を身体の横方向へ振ると肩や背中へ負担がかかりやすい
腕振りは基本的に前後方向です。右手が身体の左側へ行くように胸の前を横切ったり、左右へ大きく振ったりすると、上半身も一緒にねじれやすくなります。
American Council on Exerciseでは、ランニング時の腕はおおむね90度程度に曲げ、身体の中央線を大きく横切らず、肩を起点に前後方向へ振ることを基本として紹介しています。[参照:American Council on Exercise]
上半身のねじれが大きいと、肩甲骨周辺や背中の筋肉が余計に働くことになります。まずは「前後に小さく振る」くらいのイメージで十分です。
初心者向けの正しい腕の振り方
腕振りは複雑に考える必要はありません。肩の力を抜き、肘を軽く曲げた状態で、腕を前後へ自然に動かします。
肘の角度はおおむね90度前後が一つの目安ですが、きっちり90度に固定する必要はありません。自然に曲げた状態で問題ありません。
Cleveland Clinicでも、ランニングフォームの基本として、身体をリラックスさせ、腕を約90度に曲げて前後に振ることを勧めています。[参照:Cleveland Clinic]
「前へ振る」より「肘を後ろへ引く」と考えると自然になる
腕振りがぎこちなくなる人は、手を前へ大きく出そうとすることがあります。しかしランニングでは、肘を軽く後ろへ引くイメージのほうが自然な動きになりやすいです。
例えば右脚が前へ出るときには左腕が前へ出ます。反対側の腕と脚が自然に動くことで、走行中の身体の回転を打ち消してバランスを取っています。
腕を強く振って推進力を作ろうとせず、脚の動きについてくる程度から始めてください。ジョギング程度のペースなら、大きな腕振りは必要ありません。
手を強く握りしめない
走っている途中で拳を強く握っていると、手だけでなく前腕、肩、首へと力が伝わりやすくなります。
手は軽く握る程度にします。「手のひらにポテトチップスを1枚持っていて、割らない程度」と表現されることもあります。
走っている途中で肩が疲れてきたら、一度手をブラブラさせて力を抜き、再び軽く腕振りを始めるだけでも楽になる場合があります。
猫背や前かがみも肩の痛みにつながることがある
疲れてくると、腰から身体を折るように前かがみになり、頭が前へ出ることがあります。この姿勢では首や肩周辺の筋肉が頭を支える負担が増えます。
ランニングでは、頭から腰までをなるべく自然に保ち、前傾する場合も腰から折れるのではなく、身体全体が足首からわずかに前へ傾く程度を意識します。
ACEも、視線を前方へ向け、腰ではなく足首から軽く前傾するフォームを紹介しています。[参照:American Council on Exercise]
走り始め2日なら「頑張りすぎ」も考える
友達と一緒にランニングを始めると、相手のペースについていこうとして、最初から長時間走ってしまうことがあります。
ランニング初心者は筋肉だけでなく、腱・関節・心肺機能もまだ負荷に慣れていません。短期間で運動量を増やしすぎることは、筋肉や関節の痛みにつながります。Mayo Clinicも、急に運動量や運動時間を増やすことがオーバーユースによる障害につながると説明しています。[参照:Mayo Clinic Orthopedics & Sports Medicine]
最初の数週間は「まだ走れそう」というところで終えるくらいでも十分です。
初心者はランニングとウォーキングを交互にしてもよい
最初から20~30分走り続ける必要はありません。むしろ、数分走って数分歩く方法のほうが身体を徐々にランニングへ慣らしやすくなります。
例えば「2分ジョギング+2分ウォーキング」を5回繰り返せば合計20分になります。慣れてきたら走る時間を3分、5分と少しずつ増やします。
HSSも、初心者がいきなり多く走りすぎるとケガにつながりやすいため、身体を徐々にランニングへ適応させることが重要だとしています。[参照:Hospital for Special Surgery]
筋肉痛らしい場合は休息を入れる
左右の肩や背中が重くだるい、押すと筋肉が痛い、運動翌日から痛くなったという場合は、運動後の筋肉痛である可能性があります。
その場合は痛い状態で毎日走るのではなく、1~2日休んだり、ウォーキングへ変更したりして回復を待つ方法があります。
完全に運動をやめなければならないとは限りませんが、腕を振るたびにはっきり痛む状態で無理に走り続ける必要はありません。
走る前に肩まわりを軽く動かしておく
ランニング前には、肩を大きく回したり、腕を前後へ軽く振ったりして身体を温めておくと動きやすくなります。
いきなり全力で走り始めるのではなく、最初の5~10分程度は歩行や非常に軽いジョギングからスタートするとよいでしょう。
身体が温まってから徐々にペースを上げることで、肩だけでなく脚への急激な負担も減らせます。
腕振りのチェックポイント
| チェック項目 | 意識すること |
|---|---|
| 肩 | すくめず、力を抜く |
| 肘 | 自然に約90度前後へ曲げる |
| 動かす方向 | 身体の前後方向 |
| 手 | 強く握りしめない |
| 振る大きさ | ジョギングなら小さめで十分 |
| 胸の前 | 腕が身体の中央線を大きく横切らない |
| 肩甲骨 | 無理に寄せ続けない |
フォームを一度にすべて直そうとすると逆に身体が硬くなるため、まずは「肩をリラックス」「腕は前後」の2点だけ意識してみてください。
スマホで動画を撮ってもらうとフォームが分かりやすい
自分ではまっすぐ腕を振っているつもりでも、実際には左右へ大きく振っていることがあります。
友達とランニングしているなら、横と後ろから10~20秒程度走っている姿をスマートフォンで撮ってもらうと確認しやすくなります。
Cleveland Clinicでも、フォーム改善の方法として動画撮影を利用し、姿勢や腕振りなどを確認する方法を紹介しています。[参照:Cleveland Clinic]
肩甲骨を無理に寄せて走る必要はない
「姿勢を良くしよう」と考えて胸を強く張り、肩甲骨をずっと背中側へ寄せて走る人もいます。しかし、それでは背中の筋肉が緊張し続けます。
良い姿勢とは、胸を最大限張ることではなく、頭・背中・骨盤が無理なく自然な位置にある状態です。
肩甲骨は腕振りに合わせて自然に動かして構いません。固定しようとしないことがポイントです。
痛みが出たときは走り続けない
ランニング中に痛みが出て徐々に強くなる場合、「走っていればそのうち慣れる」と無理に続けることはおすすめできません。
Cleveland Clinicも、ランニング中に背中の痛みが始まった場合は、いったん走るのを止め、距離・時間・ペースなどを減らすことを勧めています。[参照:Cleveland Clinic]
痛みが消えてから、以前より短い距離や遅いペースで再開します。初心者ほど休養日を入れたほうが継続しやすくなります。
単なる筋肉痛ではなさそうな痛みには注意
筋肉痛であれば、通常は数日かけて徐々に軽くなっていきます。しかし、肩を動かした瞬間に鋭い痛みがある、腕が上がらない、痛みが毎日悪化する場合は別の原因を考える必要があります。
肩には腱、関節、神経などさまざまな組織があります。痛みの原因は筋肉疲労だけとは限りません。
数日休んでも改善しない、日常生活でも痛む場合には整形外科などへ相談するとよいでしょう。
しびれや力の入りにくさがあれば早めに受診する
肩や背中の痛みに加えて、腕や手のしびれ、感覚がおかしい、力が入りにくいなどの症状がある場合には、神経が関係している可能性もあります。
また突然非常に強い肩・背中の痛みが出た場合や、胸の圧迫感・息苦しさなどを伴う場合には、運動による筋肉痛と自己判断しないことが重要です。
Mayo Clinicも、突然強い肩・腕・背中の痛みが胸部症状と一緒に起こる場合などは緊急の評価が必要としています。[参照:Mayo Clinic]
初心者が最初の1~2週間で意識したいこと
ランニングを始めたばかりなら、速さよりも身体を慣らすことを優先しましょう。毎日走る必要はなく、1日走ったら翌日は休むなどでも十分です。
友達のほうが走れる場合でも、同じ速度や距離に合わせる必要はありません。「会話ができる程度のペース」を一つの目安にすると、初心者でも走りやすくなります。
疲れてフォームが崩れる前に終了するほうが、結果的には長くランニングを続けやすくなります。
まとめ:走り始めの肩・背中の痛みは力みや使い慣れない筋肉が原因のことが多い
ランニングを始めて2日程度で、腕を振ったときに肩から背中付近が痛む場合、普段使っていなかった肩甲骨周辺の筋肉の疲労や、腕振りで肩に力が入りすぎていることが原因として考えられます。
腕は力いっぱい振らず、肩をリラックスさせ、肘を軽く曲げて身体の前後方向へコンパクトに動かすことが基本です。胸の前を横切るほど左右へ振ったり、拳を強く握ったりする必要はありません。
また初心者は最初から毎日長距離を走るより、ジョギングとウォーキングを組み合わせ、身体を徐々に慣らすほうがケガを防ぎやすくなります。痛みが出た日は無理に走らず休養を入れましょう。
数日で軽くなる筋肉痛なら大きな心配がないことも多いですが、鋭い痛みが続く、腕が動かしにくい、痛みが悪化する、しびれや力の入りにくさがある場合には、単なる筋肉痛と決めつけず整形外科などで相談してください。

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