脊柱管狭窄症と腸腰筋ストレッチの関係|スクワットは本当にNGなのか?

マッサージ、整体

脊柱管狭窄症と診断された方にとって、正しい運動療法の選択は症状の悪化を防ぎ、日常生活の質を向上させる重要なポイントとなります。整体師から「腸腰筋のストレッチを行い、スクワットは控えるように」とアドバイスを受けることがありますが、これは解剖学的に正しいのでしょうか?本記事では、腸腰筋と脊柱管狭窄症、スクワットの関係性について、理学療法や解剖学の観点から解説します。

脊柱管狭窄症と腸腰筋の関係

脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなることで、神経が圧迫され、腰痛や足のしびれ、歩行障害などを引き起こす疾患です。

腸腰筋(ちょうようきん)は、腰椎と大腿骨をつなぐ深層の筋肉で、姿勢保持や股関節の屈曲に関与します。腸腰筋が過度に緊張して硬くなると、骨盤が前傾し、腰椎の前弯が強まり、脊柱管内圧が増して症状を悪化させる可能性があります。

腸腰筋のストレッチは有効か?

結論から言うと、腸腰筋のストレッチは、脊柱管狭窄症に対して非常に有効です。腸腰筋を柔軟に保つことで、骨盤の前傾を抑え、腰椎の過剰な前弯を防ぐことができます。

代表的なストレッチとしては、ランジストレッチハーフニーリングなどがあります。これらのストレッチは、腰を反らさずに腸腰筋を伸ばすことが可能で、腰に負担をかけずに柔軟性を高めることができます。

スクワットは腸腰筋を硬くするのか?

スクワットは下半身全体の筋力を高める優れた運動ですが、実は腸腰筋を直接鍛える種目ではありません。むしろ、臀部や大腿四頭筋、ハムストリングスなどが主に使われます。

ただし、スクワットのフォームによっては、股関節の屈曲を強く促す動きが入り、結果的に腸腰筋に緊張が入るケースがあります。特に、腰を深く落としすぎたり、前傾姿勢が強すぎるフォームだと、腰椎への圧が増し、脊柱管狭窄症の方には悪影響になる可能性があります。

解剖学的に見た正しい対応

理学療法の観点から見ると、以下のポイントが重要です。

  • 腸腰筋の柔軟性を保つことは、腰椎へのストレスを軽減するために有効。
  • スクワットは一概に悪いとは言えないが、正しいフォームと負荷管理が必要。
  • 症状がある場合は、腸腰筋のストレッチを優先し、スクワットは理学療法士の指導のもと慎重に行うことが望ましい。

つまり、腸腰筋を硬くするからといってスクワットを完全に否定するわけではなく、「誰にでも合うとは限らない」というのが正確な表現です。

安全にできる運動の代替案

脊柱管狭窄症の方におすすめできる、腸腰筋に優しい運動には以下のようなものがあります。

  • ブリッジ運動:仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる運動。腰への負担が少なく、臀筋を強化できます。
  • ヒップリフト:腸腰筋を使わずに骨盤周囲の筋肉を強化することができます。
  • ウォーキング:軽い有酸素運動として、腰を動かさず全身の血行を良くします。

まとめ:スクワットは使い方次第、腸腰筋ストレッチは効果的

脊柱管狭窄症においては、腸腰筋のストレッチが効果的である一方、スクワットは正しいフォームで行わないと逆効果になることもあります。整体師のアドバイスには理由があり、解剖学的にも腸腰筋をゆるめることは理にかなっています。

スクワットは決して「してはいけない」運動ではありませんが、症状があるうちは専門家の指導のもとで行うことが推奨されます。自分の体と相談しながら、安全で効果的な運動習慣を作っていきましょう。

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